BIツールを管理会計に用いてできること
管理会計は、経営に役立つ情報を提供することを目的とした会計手法です。そのためには、会計データをいかに経営判断に活かすかが重要となります。BIツールは、こうした判断を支える情報を効率的に可視化・分析できる点で有効です。
社内外のさまざまなデータを一元管理し、グラフなどで瞬時に可視化できるため、状況の把握や判断がスムーズになります。必要に応じて、さらに詳細な分析も可能です。
また、BIツールは収益性や原価、KPIなどの管理に加え、管理会計の一環である予実差異の分析や予算達成状況の把握などの予算管理業務にも活用されています。リアルタイムでの可視化により、経営判断のスピードと精度が向上します。
BIツールの基本的な機能や活用例については、以下の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

BIツールを管理会計に活用した事例
BIツールを導入することで、管理会計業務の効率化に加えて、そのなかでも重要な領域である予算管理の精度向上や予実比較のリアルタイム化など、従来の業務フローを刷新する効果が得られます。
ここでは、具体的にどのような成果があったのか、企業事例を通じて見ていきましょう。
事例1.経営層にも現場にも使いやすいシステムを実現
ある企業は基幹システムの刷新を機に、負担の少ない管理会計を実現するべくBIツールの導入に着手しました。その際、自社のデータ活用スタイルに合うBIツールの選定を意識したそうです。その結果、経営層にも現場の利用者にも好評なデータ活用環境が実現したといいます。
事例2.精度の向上やPDCAサイクルの改善を実現
ある医療機器メーカーは、国内外のデータを統一できない点や、計画系・実績系のデータを連動させられないことに悩んでいました。そこで、管理会計用データウェアハウスの構築とBIツールの導入により問題の解決を目指します。その結果、データの統一による高度な分析や、計画・実績を踏まえたPDCAサイクルの効率化が実現したといいます。
BIツールを管理会計に活用する際のポイント
BIツールを導入する際は、社内の利用目的や関係者の役割を明確にすることが大切です。特に予算管理の分野では、各部署の進捗状況をタイムリーに確認できる設計が、予算超過の防止や迅速な軌道修正につながります。
ユーザーや必要な情報を明確にする
BIツールを導入しても、管理会計にうまく活かせないケースは少なくありません。その多くは、「なんとなく便利そうだから」という理由で導入を決めてしまったことにあります。
適切にBIツールを活用するためには、誰がどのようにそれを使うのかを事前に明確にしましょう。なぜなら、それによって必要な機能や利用目的が変わるからです。
例えば、経営層しか使わないのであれば、万人に使いやすいことよりも高度な分析機能を備えていることのほうが重要でしょう。一方、現場での活用を視野に入れるのであれば使いやすさは重要な要素になります。
ライセンス体系をチェックする
BIツールに必要なコストはライセンス体系によって大きく左右されます。基本的な体系は以下の2種類です。
- ■ユーザーライセンス型
- ユーザー数に応じて課金される。ユーザー数が少なければ少ないほどコストは安くなる。
- ■サーバライセンス型
- 1サーバごとに課金される。ユーザー数と料金は無関係であるため、大人数で使うほど1ユーザーあたりのコストが安くなる。
ここで注意したいのが、初期のユーザーが少ないからといってユーザーライセンス型を選ぶと後で損をする可能性があることです。徐々に利用規模を拡大していくつもりがあるのなら、最終的なユーザー数を想定してライセンス体系を決めましょう。
なお、BIツールの選定も重要なポイントです。導入目的や利用部門にあったツールを選ぶことで、管理会計や予算管理の効果を最大限に引き出せます。主なBIツールの特徴や違いについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
BIツールを管理会計に活用し、意思決定を迅速化させよう
BIツールは、管理会計の効率化に加え、部門ごとの予算配分や進捗を可視化する機能も備えており、予算管理の高度化にも有効です。数値データを視覚的に把握できることで、属人的な報告に頼らず、迅速かつ客観的な意思決定が実現します。ツールの特徴や自社課題にあわせて最適な製品を選定し、競争力のある経営体制を構築していきましょう。
