Web問診システムとは
Web問診システムは、患者がスマートフォンやタブレットで事前に問診票に回答できるデジタル問診サービスです。診療効率の向上と患者満足度の改善が同時に実現します。
患者がインターネット上で事前に問診票に回答し、その情報を電子カルテシステムに自動で連携できるため、新型コロナウイルス感染症の拡大を機に普及が加速しました。非接触での診療体制構築が求められるなか、現在では多くの医療機関で活用されています。
システムの基本的な流れは、患者が予約時や来院前にQRコードやURLから問診フォームにアクセスし、症状や既往歴などを入力。医師は診察前に患者情報を把握でき、診療時間の短縮と質の向上が図れます。また、問診データは電子カルテに自動反映されるため、転記作業の手間も削減されます。
Web問診システムのメリット
Web問診システムを導入することで、医療機関は業務効率の大幅な向上と患者満足度の改善を実現できます。ここでは、導入により得られる主要なメリットを詳しく解説します。
- ■診療時間の短縮と効率化
- 患者が事前に問診票へ回答することで、診察時の聞き取り時間を大幅に短縮できます。医師はあらかじめ症状や既往歴を把握できるため、より正確かつ効率的な診療が可能です。実際に多くの医療機関で、問診時間を30~50%削減できたと報告されています。
- ■電子カルテとの連携による業務効率化
- 問診データは自動的に電子カルテへ反映されるため、受付スタッフや看護師による手入力や転記作業が不要になります。これにより入力ミスのリスクを減らし、スタッフの業務負担を大幅に軽減できます。
- ■待ち時間の有効活用と患者満足度向上
- 来院前や待合室で問診票に回答できるため、患者は待ち時間を有効に使えます。さらに、チャット形式で分かりやすく質問が進むシステムも多く、回答のしやすさが患者の負担軽減と満足度向上につながります。
- ■感染対策とペーパーレス化の推進
- 紙の問診票を廃止することで、接触による感染リスクを低減できます。あわせてペーパーレス化を進めることで、印刷コスト削減や保管スペースの有効活用も可能です。
- ■多言語対応による外国人患者への対応強化
- 多くのWeb問診システムが多言語に対応しており、外国人患者もスムーズに問診を受けられます。これにより言語の壁を取り除き、より幅広い患者層への診療対応が可能になります。
Web問診システムの注意点
Web問診システムには多くのメリットがありますが、導入前に検討すべき注意点もあります。これらの課題を理解し、適切な対策を講じることが成功の鍵となります。
- ■高齢患者のデジタルデバイド問題
- スマートフォンやタブレットの操作に不慣れな高齢患者にとって、Web問診の利用が難しい場合があります。そのため、従来の紙の問診票も併用できる体制を整えておくことが重要です。
- ■インターネット環境への依存
- Web問診システムはインターネット接続が前提となるため、通信障害が発生すると利用できなくなるリスクがあります。緊急時に備えたバックアップ体制を事前に準備しておきましょう。
- ■初期コストと運用コストの発生
- システム導入には初期費用や月額利用料がかかります。さらに、スタッフへの操作研修や患者への利用説明といった時間的コストも考慮する必要があります。
- ■患者のプライバシー保護とセキュリティ対策
- 医療情報を扱うため、強固なセキュリティ対策が不可欠です。データの暗号化、アクセス制御、定期的なセキュリティ監査などを備えた信頼性の高いシステムを選択しましょう。
- ■既存システムとの連携性の確認
- 現在利用している電子カルテやレセコンとスムーズに連携できるか事前に確認が必要です。連携性が低い場合、業務効率化の効果が限定的になる恐れがあります。
Web問診システムのタイプ
Web問診システムは、大きく分けて「電子カルテ一体型」と「Web問診特化型」の2つのタイプに分類されます。それぞれに異なるメリットがあるため、自院のニーズに合わせた選択が重要です。
- ■電子カルテ一体型
- 電子カルテに問診機能が組み込まれており、問診から診療、会計まで一貫したワークフローを実現できます。システムの統合性が高く、操作性の一貫性やデータ管理の効率性に優れています。
- ■Web問診特化型
- 既存の電子カルテと連携して利用する専用の問診システムです。問診機能に特化しているため、高度な問診カスタマイズや豊富なテンプレート、AI機能など、充実した問診機能を提供できるのが特徴です。
Web問診システムの選び方・比較ポイント
Web問診システムを選定する際は、自院の診療スタイルや患者層、既存システムとの適合性など、多角的な視点から検討することが重要です。ここでは、システム選定時に重視すべき比較ポイントを詳しく解説します。
電子カルテとの連携性
最も重要なポイントは、現在使用している電子カルテシステムとの連携性です。問診データが電子カルテに自動で反映されることで、転記作業が不要になり、大幅な業務効率化が実現できます。主要な電子カルテメーカーとの連携実績があるかを確認しましょう。
操作性と患者の使いやすさ
患者が迷わず問診を完了できる直感的なインターフェースが重要です。特に高齢患者でも操作しやすいシンプルな画面設計、文字サイズの調整機能、音声入力機能などがあるとよいでしょう。無料トライアルやデモ版を活用し、実際の操作感を確認することをおすすめします。
問診票のカスタマイズ性
自院の診療科目や特性に合わせて、問診票をカスタマイズできるかもチェックポイントです。テンプレートの豊富さ、質問項目の自由な追加・編集、条件分岐機能(症状に応じて質問が変わる機能)などを確認しましょう。
多言語・多機能対応
外国人患者が多い地域では多言語対応が必須です。また、画像添付機能、音声入力、手書き機能、オンライン診療連携などの追加機能も、必要に応じて検討しましょう。
セキュリティ対策
医療情報を扱うため、厳格なセキュリティ基準をクリアしているシステムを選択する必要があります。データの暗号化、アクセスログの管理、定期的なセキュリティ監査の実施状況などを確認しましょう。
料金体系と費用対効果
初期費用、月額利用料、追加機能の料金体系を明確に把握し、導入により得られる業務効率化効果と比較検討しましょう。患者数に応じた従量課金制か定額制かも重要なポイントです。
サポート体制
導入時の設定サポート、運用開始後のトラブル対応、システムアップデート対応など、充実したサポート体制があるかを確認しましょう。特に導入初期は手厚いサポートが必要になります。
おすすめのWeb問診システム比較(電子カルテ一体型)
ここからは、クリニック導入におすすめのWeb問診システムを厳選して紹介します。まずは、電子カルテシステムに問診機能が組み込まれた一体型製品をピックアップしました。
Medicom-HRf Hybrid Cloud
- オンライン順番受付・モバイル型決済・オンライン問診と連携可能
- はじめてでも直観的に理解しすぐに使いこなせるUX/UIデザイン
- クラウド活用によるデバイス&ロケーションフリーを実現
ウィーメックス株式会社が提供する「Medicom-HRf Hybrid Cloud」は、高機能なWeb問診機能を搭載したハイブリッドクラウド対応の電子カルテシステムです。オンライン順番受付やモバイル決済との連携により、受付から会計までの一連の業務をデジタル化できます。問診データは電子カルテに自動反映され、診療効率の大幅な向上を実現します。
CLIUS (クリアス)
- 【無料】WEB予約・問診・在宅・オンライン診療全て追加料金なし
- カルテ入力時間を短縮できるUI・UX。初心者でも使いやすい
- iPadでも使える!訪問診療や院内での持ち運びに役立ちます
株式会社DONUTSが提供する「CLIUS(クリアス)」は、レスポンスの早さと直感的な操作性にこだわったクリニック向け電子カルテシステムです。Web問診機能では、患者が使いやすいシンプルなインターフェースを採用し、スマートフォンでもストレスなく問診を完了できます。電子カルテとの完全連携により、問診から診療までのスムーズなワークフローを実現します。
CLINICSカルテ
- 経営分析機能でクリニック経営をアップデート
- 一貫性のあるシステムで業務効率を向上
- クラウドシステムによる運用負担の軽減
株式会社メドレーが提供する「CLINICSカルテ」は、Web問診機能を標準搭載したクラウド型電子カルテシステムです。CLINICS予約やCLINICSオンライン診療との連携により、予約から問診、診療、決済まで一貫して対応が可能。患者用アプリとの連動で検査結果の送信や服薬指導も効率化でき、包括的な診療支援を実現します。
MAPs for CLINIC
- 初期ライセンス0円!Web予約問診(LINE連携)も追加費用0円!
- 柔軟な入力セット・画面表示カスタマイズで4倍速の高速入力
- ネットワーク障害時は別回線に自動切換。オフラインでも入力可能
株式会社EMシステムズが提供する「MAPs for CLINIC」は、クラウド型でありながらインターネット障害時も利用継続可能なWindowsアプリケーション版電子カルテです。Web問診機能はLINE連携に対応し、患者の利便性を高めています。初期ライセンス無料かつ、Web予約問診も追加費用なしで利用でき、コストパフォーマンスに優れた導入が可能です。
Medicom クラウドカルテ
- 直感的で使いやすい、医師やスタッフの業務をスピーディにするUI
- カルテ入力内容から算定可能項目を抽出できるAI自動算定機能搭載
- 医事一体型だから、カルテ入力からレセプト会計なども一元管理
ウィーメックス株式会社が提供する「Medicom クラウドカルテ」は、AI自動算定機能を搭載したクラウド型電子カルテシステムです。Web問診機能では、カルテ入力内容から算定可能項目を自動抽出し、診療報酬の算定漏れを防ぎます。直感的で使いやすいUIにより、医師やスタッフの業務をスピーディに進められ、医事一体型のため問診からレセプト作成まで一元管理できます。
おすすめのWeb問診システム比較(特化型)
次に、Web問診に特化した専用システムを紹介します。これらの製品は既存の電子カルテと連携して利用でき、問診機能の充実度が特徴です。
メルプWEB問診
株式会社HERO innovationが提供する「メルプWEB問診」は、現役医師が開発したチャット形式のWeb問診システムです。LINE風の画面で患者が“会話する感覚”で問診に回答でき、問診登録時間を約1/30に削減可能。3か月で100万人が利用し、2,000以上の医療機関に導入実績があります。また、問診票テンプレートマーケットも充実しており、簡単に問診票を作成できます。
Symview
株式会社レイヤードが提供する「Symview」は、月間問診登録数5,000万件を突破した実績豊富なWeb問診システムです。来院前に詳細な患者情報を把握することで業務効率化と感染対策を両立できます。全国2,000件以上の医科診療所で採用されており、幅広い診療科や規模のクリニックで活用されています。電子カルテや予約システム、オンライン診療との連携実績も豊富です。
ユビーメディカルナビ(AI問診)
Ubie株式会社が提供する「ユビーメディカルナビ(AI問診)」は、現役医師が監修したAI搭載のWeb問診システムです。患者ごとにAIが最適な質問を自動生成・聴取し、効率的な問診をサポートします。また、多言語対応で外国人患者にも使いやすく、誰でも使える簡単操作が特徴。AIによる診療効率化と診断精度向上を同時に実現し、電子カルテへの反映もスムーズです。
imon
アイ・ティ・エス株式会社が提供する「imon」は、クラウド対応のタブレット問診入力システムです。高齢者でも操作しやすい直感的なUIで、問診票レイアウトの自由編集も可能。問診票入力機能や問診票確認機能を搭載し、院内滞在時間の短縮を目的とした効率的な問診業務をサポート。導入コストを抑えた設計で、小規模クリニックにも適しています。
まとめ
Web問診システムを導入することで、診療時間の短縮や業務効率化、患者満足度の向上といった多くのメリットが得られます。ペーパーレス化や感染対策にもつながり、在宅医療や訪問診療への対応力も高まるため、今後さらに普及が進むと考えられます。
ただし、製品ごとに機能や料金、電子カルテとの連携性などに違いがあります。自院に最適なシステムを導入するために、まずは複数製品の資料を取り寄せて比較検討してみてください。