株式会社SUPERNOVAは、法人向け生成AIサービス「Stella AI for Biz」において、「プロンプトサポート」機能と「使い方動画」機能を2026年3月2日より追加提供することを発表しました。IT導入補助金2025の対象ツールでもある同サービスは、月額2,178円(税込、1人あたり)という価格帯でGrokやClaude Sonnetなど主要AIモデルの無制限利用を提供しており、今回の機能追加は「導入したが現場に定着しない」という課題への直接的な対応として位置づけられています。
「プロンプトの壁」を機能で取り除く設計
生成AIの法人導入が拡大する中で、「契約はしたが実際には使われていない」という状況は多くの組織で共通する課題として認識されています。その主な理由の一つが、AIに対してどのような指示(プロンプト)を書けばよいかが分からないという「プロンプトの壁」です。専門的なプロンプトエンジニアリングの知識がなければ生成AIの能力を引き出せないとすれば、その時点でツールの価値は半減してしまいます。
新たに追加された「プロンプトサポート機能」は、ユーザーがやりたいことをテキストで入力するだけで、AIがそれに対応した効果的なプロンプトを自動生成する機能です。作成されたプロンプトはStella AIのテンプレート形式に変換され、組織内で繰り返し共有・利用することが可能です。個人のスキル差に左右されずに生成AIの機能を活用できる環境が整うことで、部署単位・組織全体でのAI活用推進に貢献すると考えられます。
「使い方動画」機能は、業務の合間に短尺コンテンツとして学べる設計で、実際のカスタマーサポートの現場で活用アドバイスを行っているスタッフが監修したコンテンツが提供されると説明されています。「必要なときに、自分のペースで」という学習スタイルへの配慮は、オンボーディングコストを下げ、現場担当者がサービスに慣れるまでの時間を短縮する効果が期待できます。
AI定着支援が製品の競争軸になる段階へ
法人向けAIツール市場では、近年「高精度・多機能」から「定着しやすさ・使いこなせる仕組み」へと競争軸が移りつつあると受け取れます。ChatGPT EnterpriseやMicrosoft Copilotなどの大手製品が広く普及するにつれて、AI機能そのものの差別化は難しくなっており、「導入後にどう使われ続けるか」という側面が製品選定において重視されるようになっています。
Stella AI for Bizは、Word/Excel/PowerPointで利用できるアドイン機能、社内情報を読み込むRAGデータベース機能、議事録の自動生成機能なども備えており、日常業務の中でAIを使う機会が複数設けられている設計です。こうした「使える場面を増やす」という発想が、社員がAIに慣れやすい環境を生み出していると考えられます。
今回のプロンプトサポートと学習動画の追加は、ツールとしての機能提供にとどまらず、「社員が自走してAIを活用できる状態をつくる」ことまでを製品の責任範囲として捉えた取り組みと言えます。特に、専任のAI推進担当者を置けない中小・中堅企業においては、こうした導入後の定着支援まで含めてパッケージ化されているサービスは評価されやすいポジションを持ちます。
ITツールを選定する際には、機能スペックだけでなく、「社員全体に浸透するか」という視点が購買決定を左右する重要な要素となっています。継続利用率やリテンションの観点からも、定着を支援する仕組みを内包した設計は、ベンダーにとっても顧客にとっても双方のメリットがあると言えそうです。
まとめ
「Stella AI for Biz」のプロンプトサポートと学習動画機能の追加は、生成AIの「活用定着」という法人AI市場の本質的課題にプロダクトで応えようとする取り組みです。ツールを提供するだけでなく、社員が自走してAIを使いこなせる環境を製品の中に組み込むという設計思想は、今後の法人AIサービスが向かう一つの方向性を示すものと考えられます。AI活用の定着支援をどこがどのように担うか、この問いへの各社の答えが多様化する中で、引き続き注目していきたい動きです。

