【比較表】大企業向けのワークフローシステム一覧
さっそく、大企業におすすめのワークフローシステムを見てみましょう。「ITトレンド年間ランキング2024」の上位製品を左から順に比較表にまとめています。まずは全体像を掴み、どの製品が自社の前提条件にあいそうかを把握してください。
最新の人気ランキングは、以下のページより確認できます。製品トレンドの把握にご活用ください。
大企業がワークフローで抱える課題
自社に最適な製品を選ぶには、まず大企業で発生しやすい課題を整理することが重要です。ここでは4つの代表的な課題を取り上げ、それぞれに対応する必須機能を明確にします。どの課題が自社に当てはまるかを確認してください。
- ●承認フローが複雑になる
- ●人事異動の規模が大きくメンテナンスの負荷が高い
- ●独自の商習慣にあわせたカスタマイズが必要になる
- ●高いセキュリティレベルが求められる
承認フローが複雑になる
大企業では組織が多層で、決裁は複数部門・複数階層・グループ会社横断で進みます。案件によっては複数ルートが同時進行し、検証や差し戻しも増えがちです。
ひもづく解決機能:高度な条件分岐/並列承認(AND・OR・多数決)/途中合議・スキップ設定/事前通知・根回し指示/代理申請・代理承認/多段階テンプレ
人事異動の規模が大きくメンテナンスの負荷が高い
組織改編や大量の人事異動のたびに承認ルートや権限の更新が発生します。手作業だと工数とミスが増え、業務遅延の原因になります。
ひもづく解決機能:組織マスタ連携/組織図のバージョン管理/改編日の予約反映(スケジュール適用)/人事異動の一括更新/権限移管/検証用サンドボックス環境
独自の商習慣にあわせたカスタマイズが必要になる
業界固有の手続きやグローバル拠点の法規制・通貨・言語に対応するには、標準機能だけでは不足しがちです。
ひもづく解決機能:柔軟なフォーム設計(Excel取り込み含む)/スクリプト・プラグイン拡張/豊富なAPI/多言語・多通貨・タイムゾーン対応/各国法規対応テンプレ
高いセキュリティレベルが求められる
内部統制や監査要件に適合するため、アクセス制御・証跡・改ざん耐性まで厳密な運用が必要です。
ひもづく解決機能:SSO(SAML/OIDC)/MFA/IP制限・端末制限/権限の粒度(ページ・フィールド)/監査ログ・証跡の改ざん耐性・長期保管/静止・通信の暗号化/ISO 27001(ISMS)等の認証
以下の記事では、内部統制強化におけるワークフローシステム導入の効果を解説しています。あわせてご覧ください。
大企業向けワークフローシステムの4つのタイプと選び方
前述の課題を踏まえると、大企業向けワークフローシステムは機能別に4つのタイプに分類できます。「承認フロー」「メンテナンス」「外部連携」「セキュリティ」の4つの視点で、自社の優先課題と照らし合わせながらどのタイプを重視すべきか判断しましょう。
- ●複雑な承認フローに強いタイプ
- ●メンテナンスに強いタイプ
- ●連携性にすぐれたタイプ
- ●高いセキュリティを備えたタイプ
それぞれの特徴を詳しく解説します。
複雑な承認フローに強いタイプ
部門や承認者が多く、承認ルートの柔軟性が欠かせない大企業向けのシステムです。複雑なフローでもスムーズに運用できるよう、金額や申請内容に応じて経路を自動で切り替える「条件分岐」や、複数部門に同時回付できる「並列承認」が備わっています。
並列承認では、すべての承認者の承認を必要とする「AND承認」と、いずれかの承認者の承認のみで決裁を進められる「OR承認」を組み合わせるなど、さまざまなパターンに対応します。
さらに、「事前通知」機能を活用すれば、申請後に決裁者や関係者へ内容を周知でき、否認や差し戻しを減らし、フロー全体を円滑に進められます。
▶「おすすめの大企業向けワークフローシステム(複雑な承認フローに強み)」を比較!
メンテナンスに強いタイプ
人事異動や組織改編が頻繁に発生し、メンテナンス工数を抑えたい大企業向けのシステムです。承認ルートの変更を最小限にするため、組織図のバージョン管理機能や予約機能を備えています。
予約機能では、組織改編後のデータをあらかじめ登録しておくと、組織改編日に自動で反映されます。さらに、バージョン管理機能で複数の組織図を保持できるため、年度末など異動が集中する時期でもシステム管理の負担を分散できます。
▶「おすすめの大企業向けワークフローシステム(メンテナンスに強み)」を比較!
連携性にすぐれたタイプ
社内の基幹システムや自社開発ツールなど、多様なソフトと連携させたい大企業向けのシステムです。連携性は公開されているAPIの種類に大きく左右され、APIが豊富であれば独自の業務フローや商習慣にあわせて柔軟にシステム統合できます。
加えて、チャットアプリとの連携も有効です。承認依頼や差し戻し通知をチャットで受け取れるほか、チャット上から申請や承認を行えます。日常的に使うアプリと連携できれば、ワークフローの効率性や利便性をさらに高められます。
▶「おすすめの大企業向けワークフローシステム(連携に強み)」を比較!
高いセキュリティを備えたタイプ
情報漏えいやデータ改ざんなど、セキュリティリスクを最小化したい大企業向けのシステムです。アクセス状況を正確に把握できる「証跡管理」や、IPアドレス制限・二段階認証といった「アクセス制御」は欠かせません。
人や文書、ページ単位で権限を設定できれば、不要な閲覧や情報流出を防げます。加えて、国際標準規格「ISO 27001(ISMS)認証」を取得済みのシステムであれば、企業全体で高水準のセキュリティを保持できます。
▶「おすすめの大企業向けワークフローシステム(セキュリティに強み)」を比較!
▶おすすめの大企業向けワークフローシステム(複雑な承認フローに強み)
ここからは、大企業向けワークフローシステムについて特徴を詳しく解説します。まずは、「承認フローの複雑化」の課題解決に役立つ製品を紹介します。
コラボフロー
- お使いのExcelを申請フォームとしてそのまま電子化、導入が簡単
- 誰にとっても「使いやすく、わかりやすい」操作性。
- 10期連続 顧客満足度No.1獲得!安心の高機能ワークフローシステム
株式会社コラボスタイルが提供する「コラボフロー」は、複数の承認者のうち、1/2や1/3以上が承認したら次のステップへ進む議決承認や、申請内容の数値・文字列・日付などによる複雑な条件分岐が可能です。承認者が追記したコメントを判別して、承認者を追加したり分岐を変更したりできる自動判別機能も搭載されています。
楽々WorkflowII
- ノーコードでかんたん、かつ豊富な機能で、柔軟に経路設定
- 統一基盤として利用もできる汎用ワークフローシステム
- 蓄積したデータを可視化・活用、業務改善にもつながる
住友電工情報システム株式会社が提供する「楽々WorkflowII」は、申請フォームの作成方法は、データ項目設定による自動生成やExcelシートのアップロードなど、自社にあったやり方が選べます。また、自動経路選択や代理申請・代理承認、事前通知・検討指示(根回し)などの多様な機能によって、複雑な決裁ルートの設計も容易に行えます。
グルージェントフロー
- 伴走サポートでご支援。申請フォームや承認経路をかんたん作成
- Microsoft・Googleアカウントで利用可、スムーズに利用が定着
- 外部システム連携により、業務プロセスの自動化や効率化を実現
サイオステクノロジー株式会社が提供する「グルージェントフロー」は、紙の稟議書レイアウトをシステム上で忠実に再現し、デジタル化による抵抗感なく利用できる点が特徴です。さらに、AIが申請書の候補提示や内容要約を行い、承認プロセスの迅速化を支援します。複雑な条件に必要な設定(スクリプト)は、ユーザーアシスト機能(AI機能)で自動生成できます。
導入検討を進める際は、気になる製品を比較するだけでなく、資料請求で詳細な情報を入手しておくことが重要です。以下のボタンから複数製品の一括資料請求が可能です。
▶おすすめの大企業向けワークフローシステム(メンテナンスに強み)
次に、人事異動や組織改編にともなう承認ルートの頻繁な変更に対応できるシステムを紹介します。
Create!Webフロー
- 紙イメージの申請フォーム、迷わず操作できる画面デザイン
- 構築・メンテナンスも簡単で、複雑な承認フローにも対応
- 各種システムと連携して業務全体を効率化
インフォテック株式会社が提供する「Create!Webフロー」は、ドラッグ&ドロップの簡単操作で、組織変更や人事異動の設定が完了します。また、ルート設定も容易で、申請者・承認者・決裁者を線でつなぐだけで完成します。クラウド型とパッケージ型から、自社のシステム環境にあわせて選択可能です。
▶大企業向けワークフローシステム(連携に強み)
続いて、公開APIが豊富で、既存システムとの統合や業務データの連携に強い製品を紹介します。
ジョブカンワークフロー
- 社内のあらゆる申請に対応!スマホからも申請・承認可能!
- クラウドサインと連携!社内・社外とのやり取りもペーパーレス化
- 中小から大企業、自治体に至るまで幅広い導入実績多数あり!
株式会社DONUTSが提供する「ジョブカンワークフロー」は、GoogleアカウントやGoogle Workspace、Amazonビジネス、チャットアプリなどとの連携が可能です。英語・韓国語・タイ語の外国語表示や、メール・チャット・スマホへの通知機能も行えます。月額300円(1ユーザー)からの低価格も特徴です。
kickflow
- 直感的なUIUX・優れた操作感
- 複雑な組織図 / 組織改編に強い
- SlackやTeamsとの強固な連携
株式会社kickflowが提供する「kickflow」は、豊富なAPIを搭載し、外部システムからワークフローのデータ操作が可能です。また、導入前後の手厚い支援も特徴です。システム移行の助言やリプレイスの進め方まで、細かくレクチャーを受けられます。なお、対象従業員規模は5,000名未満です。
Styleflow
- オプション費用一切なし!充実の高機能のすべてを月額350円で
- 進化するワークフロー!お客様に寄り添って成長するサービスです
- 見た目そのまま!既存のExcel/Wordを申請フォームにカンタン変換
TDCソフト株式会社が提供する「Styleflow」は、Microsoft365・Google Workspaceをはじめ、チャットツールや電子契約サービスなど多様なクラウドサービスと連携できます。さらに、ExcelやWordの申請フォームを取り込んでWeb上でそのまま活用可能。1ユーザーあたり月額300円から利用できる点も特徴です。
J’s X(ジェイズクロス)
- 豊富な導入実績とノウハウで、最適なテンプレートを提供
- 業務設計はじめ、導入・運用イメージまでシームレスに連携
- 企業・各業界毎で必要不可欠となる機能を提案し標準化を実現
株式会社JSOLが提供する「J’s X(ジェイズクロス)」は、対象従業員規模1,000名以上の大企業向けシステムです。業界別のテンプレートが用意されており、食品・飲料・組立製造・医薬・公共自治体などへの導入実績があります。また、既存の自社システムとの連携を重視した導入コンサルも依頼できます。
気になる製品は、詳細な機能比較や導入事例を確認するために資料請求を活用しましょう。以下のボタンから複数製品の一括資料請求が可能です。
▶おすすめの大企業向けワークフローシステム(セキュリティに強み)
ここでは、情報漏えい防止や内部統制の強化に対応したシステムを紹介します。
SmartDB
- ノーコードで業務部門でも開発できます
- 豊富な標準機能で幅広い業務をデジタル化できます
- 大企業ならではの複雑なワークフロー/権限制御に対応できます
株式会社ドリーム・アーツが提供する「SmartDB」は、所属組織や役職による編集権限・閲覧権限の設定ほか、文書内容によるページ単位での表示制御が可能です。また、24時間365日動作監視が行われ、監査ログは5年間保存されます。大手金融機関での採用実績をもつ高いセキュリティが特徴です。
より多くのワークフローシステムから製品選定したい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
大企業がワークフローシステムをリプレイスすべきタイミング
タイプごとの製品の特徴を理解したら、次に検討すべきは「いつリプレイスするべきか」です。大企業ではシステム規模が大きいため、更新や切替の判断を誤るとコスト・リスクが増大します。ここでは、リプレイスが効果的なタイミングを具体例とあわせて解説します。
リプレイスのタイミング | 具体例 |
---|---|
現行システムに不満がある | ●グループウェアのワークフロー機能を活用しているが、自由にレイアウトや承認フローを設定できないなど機能不足を感じている。 ●ワークフローシステムのサポートが終了し、バージョンアップを手動で行わなければならない。 ●画面が見づらく、動作が遅くなってきている。 |
ワークフローシステムの用途を拡大したい | ●グループ会社を含めた承認経路を設定したいが、フローが複雑なため再現できない。 ●社内からしか申請・承認できないため、テレワークや出張先でも業務が行えるようにしたい。 ●経費精算システムのデータを連動させたいが、システム連携できない。 |
システム管理コストや工数を削減したい | ●毎月の利用コストやサポート費用が高額なため、少しでもコストを抑えたい。 ●組織変更や人事異動にともなうシステムのメンテナンスに、多くの時間がかかっている。 ●システムのカスタマイズが難しく、特定の従業員にしか対応できない。 |
また、上記以外にも現行システムの契約更新時や減価償却期間の終了時も、リプレイスを検討すべきタイミングです。たとえ現行システムに不満がなくても、最新システムと比較すれば、価格や性能、利便性にすぐれたシステムに出会えるかもしれません。また、リプレイスによって新たに減価償却費として会計処理できるため、節税対策としても効果的です。
大企業がワークフローシステムを導入する際によくある質問(FAQ)
導入検討時によく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。必須機能や内部統制対応、他システム連携、費用感など、大企業ならではの疑問を解消する参考にしてください。
- ■Q1. 大企業で必須となるワークフロー機能は何ですか?
- 条件分岐や並列承認(AND/OR)に加え、SSO(SAML/OIDC)、監査ログ、細かな権限設定(ページ/フィールド)、MFA、多段階承認テンプレート、検証環境、API連携などが必須です。
- ■Q2. グループ会社横断の承認や組織改編に対応できますか?
- 組織図のバージョン管理や予約反映、人事異動の一括更新、権限移管に対応したシステムを選びましょう。
- ■Q3. 内部統制や監査でチェックされるポイントはどこですか?
- 改ざんできない証跡管理、ログの長期保管、権限変更の履歴、職務分掌、変更手続きの統制、エクスポート可否などが重視されます。
- ■Q4. ERP・会計・電子契約システムと連携すると何が変わりますか?
- 二重入力を解消し、マスタデータの整合性を保ち、締め処理や契約稟議を短縮できます。業務全体のスピードアップにつながります。
- ■Q5. 費用感や総保有コスト(TCO)はどう考えればいいですか?
- ライセンス費だけでなく、運用工数、教育コスト、改修・連携開発、監査対応の負荷を含めたTCOで比較することが重要です。
まとめ
大企業におけるワークフローは、承認の複雑さ・人事異動・カスタマイズ・セキュリティなど特有の課題を抱えます。この記事では、それらを整理し、解決に役立つシステムのタイプと具体的な製品比較を紹介しました。
現行システムに不満や課題を感じている場合は、リプレイスを前向きに検討する好機です。下のボタンより資料請求(無料)が可能なため、複数の製品情報を比較するためにぜひご利用ください。