TPiCS-Xの導入事例【大川精螺工業株式会社 様】
立体倉庫との連携で出庫の工数を大幅削減 業務の平準化も進む
- 業種
- 輸送用機械器具製造業
- 事業内容
- ・自動車・二輪車用重要保安部品の開発・製造・販売 ・自動車・二輪車用各種機能部品の開発・製造・販売 ・各種金属加工品の開発・製造・販売
- 導入前の課題
- 旧システムからのリプレース
- 導入後の結果
- 生産管理システムと原価管理システムとの二重入力の解消
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旧システムからのリプレース
大川精螺工業(株)は、国内6割のシェアを占めるブレーキホース金具など自動車用精密ねじ部品を生産する。取引先はティア1を中心に約300社。生産拠点は主力の水戸工場(茨城県常陸大宮市)のほか、横浜、加古川をはじめタイとメキシコにも工場を持ち、3か国によるグローバル供給体制を確立している。 創業は1934年で、切削加工の町工場としてスタート。終戦直後の1945年に日産自動車との取引が始まると自動車部品の製造が本格化し、グリースニップル(グリースの注入金具)などを生産した。 同社の生産管理のシステム化の歴史は、今からおよそ30年前のオフコン(オフィスコンピュータ)活用に始まる。品番数が増え、生産計画や現場への生産指示が手計算では難しくなったためだ。しかし、当時のオフコンの能力では生産計画の立案だけでも約1週間かかるなど、タイムリーで、きめ細かな生産管理は行えず、もっぱら受注・出荷業務などの活用に留まっていた。 2008年、初めて生産管理の専用システム(以下、旧システム)を導入する。所要量計算に基づく生産計画や生産指示、現場での工程管理や実績入力など、ひと通りの機能は揃えていた。しかし、使い始めて数年もすると、システムの性能そのものの限界を痛感するようになった。 自動車業界では内示と確定の間で発注量が変わることは珍しくないが、旧システムは自動更新機能が働かないため、不要な手配が多く発生し、日々、何が必要で何が不要かの確認作業に追われた。また、データの抽出ができないため、他の業務への転用ができなかった。その典型例が、生産管理システムと原価管理システムが連動せず、二重処理を余儀なくされたことである。このほか、作業負荷を平準化させたくても、それを知らせてくれる機能もなかった。 「初めはそれが普通なのかと思っていましたが、徐々に『そうでもなさそうだ』と誰もが気づき始めたのです」(生産管理部生産管理課課長の松尾勝氏)。 そこで、システムのリプレースの検討を始めた。直接のきっかけは、旧システムには古いOSが用いられ、早晩、サポートが打ち切られることがわかったためだが、それを度外視しても、システムの変更は多くの従業員の望むところとなった。
水戸工場内の風景
システムに柔軟性があり、タイでも豊富な導入実績がある
2016年に入ると、市販の主要な生産管理システムを丹念に調べるなど、新システムの選定を本格化させた。そして選定したのがTPiCSである。決め手となったのは、旧システムで行っていたことがすべてでき、しかも、システムに柔軟性があり、それまでやりたくてもできなかったことができることである。また、「タイ工場にも適用したいと考えていたところ、TPiCSが外国語にも対応し、タイ国内でも豊富な導入実績があることがわかったのも大きかった」と大川氏は振り返る。 2016年12月に導入を正式決定すると、ただちに生産管理部門や情報システム部門などの5人で構成するプロジェクトチームを結成。メンバー全員がメーカー研修会を受講し、 TPiCSの持つ豊富な機能を肌で感じ、理解を深めた。 一般的にシステム変更を行う際には、旧システムと新システムを一定期間、並行稼働させることが多い。しかし、プロジェクトでは「入力作業などで現場に負担をかけたくない」という思いから並行稼働は行わず、更新日を定め、以後、TPiCS一本で行くことにした。ただし、現場をおざなりにしてプロジェクトチームだけで進めるわけにはいかない。そこで、業務フローとTPiCSのプロトタイプをつくり、現場でのインタビューをきめ細かく行いながら、要件整理とその確認作業を行うという進め方をした。「現場からはさまざまな意見が上がり、それを一つずつ吟味して要求定義を固めていきました」 (生産管理システム係の栗橋隆太氏)。システムの乗せ換えが終わった後も、何回も運用テストを繰り返し、2018年4月1 日から新システムは本格稼働した。
生産管理システムと原価管理システムとの二重入力の解消
作業平準化の全社展開などを視野に
ただし、「運用開始直後は現場からの問い合わせが多く、てんてこ舞いしました」と栗橋氏はいう。マスターなどに不備な部分があり、また、一度にさまざまなデータを取り込んでしまったため、上手く回らないこともあったという。だが、地道にデータの修正や登録を繰り返した結果、1か月もすると、落ち着いたという。「TPiCSはテーブルレイアウトが公開され、SQLで一括更新なども行えたので、大いに助かりました」(栗橋氏)。 その後はシステムが安定。現場のオペレーションが習熟度を増すなか、誰もが TPiCSの便利さとデータ活用の見える化を実感するようになった。その裏には、プロジェクトメンバーらによる現場の運用者に対するマンツーマンによる指導があったことも見逃せない。 多くの従業員がTPiCSの便利さを実感した。生産管理システムと原価管理システムとの二重入力の解消はその一つ。 従来は個々に入力し、管理するのも別々のデータベースだったが、TPiCSへの入力時に原価まで入れてしまえば、それぞれのデータベースが一度に更新できるようになった。また、従来はシステム上に資材があっても、実際に探しにいくと誰かが持ち出していて、在庫がないという現象がよく起きていた。作業が終わらないうちは実績入力が確定できなかったためだ。そこで物を言うのが TPiCSの着手信号機だ。この機能を使うと、本当に資材がなくてつくれないものと、この品番なら資材が揃っているのでつくれるという判断ができ、無駄な動きをしなくてすむ。 「システム管理者の立場からは、検索条件がいろいろと変えられるようになったのが大きいです」と話すのは松尾氏である。帳票の中のある部分を見たい場合、従来はすべての帳票を出力して、削ったり、抜き取ったりしていたが、TPiCSでは条件に見合うものだけを抽出することが簡単にできるためである。 そしてタイ工場での運用である。タイでは生産管理システムの運用経験がなく、相当な時間をかけてExcelでデータを回していた。また、国内工場では受注生産が中心であるのに対し、タイは補充生産が中心。さらに文化も違い、日本以上に気を遣うことが多かったが、項目追加などが容易なTPiCSの長所が生き、2018年秋の本番稼働からスムーズに立ち上がった。 ここにきて、TPiCSの活用はさらに進展している。同社では2021年1月に出庫業務専用の第4工場を開設した。それまでの床置きでなく、立体倉庫とパレタイジングロボットを活用した近代的な倉庫だが、ここでもTPiCSが活躍中だ。 TPiCSの受注データを立体倉庫やロボットと連携させることで、出荷指示をかけたものについては、自動でモノが出る仕組みだ。その結果、煩雑な出庫作業が3人でも可能になるなど劇的な効果をもたらしている。これも、データベースが公開され、他のシステムとの連携がしやすいTPiCSの効果と言えそうだ。
立体倉庫
TPiCS-X
変化する市場に対応するために、個別生産や繰返生産に特化した最新の生産管理システムです。製品の多様化に対応し、工場のスムーズな生産を実現します。
株式会社 ティーピクス研究所
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