TPiCS-Xの導入事例【株式会社桜井製作所 様】
システムを見直しし、生産管理のあるべき姿を追求
- 業種
- 業務用機械器具製造業
- 従業員規模
- 連結 394名 単体 256名 (内 正社員214名) ※2019年6月1日現在
- 事業内容
- 工作機械の製造販売、生産ラインのエンジニアリング 自動車・オートバイの部品加工 航空機及び飛しょう体用の金属機械加工部品の製造
- 導入前の課題
- TPiCSの使い方が間違っていた
- 導入後の結果
- 在庫の把握から生産計画、原価計算の自動化へ 生産管理のあるべき姿を追求
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TPiCSの使い方が間違っていた
株式会社桜井製作所は静岡県浜松市内に2つの工場を持つ製造業である。1つは工機部、もう1つは部品部だ。工機部ではマシニングセンターなど自社製工作機械の開発・製造を行い、部品部では自動車部品などの精密加工を行う。国内には工作機械メーカーが多数存在するが、業態の異なる量産部品加工の事業も同時に手がけるのは珍しい。 同社の生産管理の取り組みは、1980年代にオフコン(オフィスコンピュータ)の導入と社内開発によるシステムにまで遡る。その機能は現在の生産管理システムとは比べようもないだろうが、地域では「システム部門を持ち、先進的な取り組みをする会社」として知られていたという。 1990年代になってコンピュータのダウンサイジングが進むと、パソコンとサーバーによるシステムに切り替わった。システム部門は廃止され、ソフトウェアの開発・導入は地域のSI(システムインテグレータ)会社に委ねられた。 ところが、そこでの問題が後々尾を引くことになった。 「地域のSI会社が生産管理の知識が無かったのに、当時は社内に専任部署が無く、SI会社に頼り切りになってしまいました。その結果、長年、生産管理業務だけでなく会社全体の業務効率が悪化し、システムに振り回される状況が続いていました。」(櫻井社長)。 生産管理関係ではスクラッチ開発のオリジナルシステムのほか、Accessを用いたソフトやパッケージソフトなど何本かが導入された。この中にTPiCSの旧バージョン(1998年にDOSのBtrive版を導入、2005年に3.1にバージョンアップ)も含まれていた。 本来ならば、生産管理のすべての機能を揃えたTPiCSをきちんと使いこなせれば問題はなかったとも考えられるが、当時はオリジナルシステムが中心で、TPiCSは月末に経理処理を行うため出荷実績と受入検収実績を入力するツールとしての使い方にすぎなかった。しかもそれぞれのソフトウェアやサブシステムは連携が取れていなかったため、2重入力が強いられていた。 特に致命的だったのは、在庫を把握できるのは素材だけで仕掛品・完成品の在庫がわからず、計画変更のたびに現場で在庫を数えないと確実な対応ができなかったことである。
社長の決断、そして二人の専門家との出会い
転機が訪れたのは2015年。二人の生産管理の専門家と巡り合った。一人は生産管理の研究家でSIベンダーの株式会社システムユニの社長を務める岡田敏明氏。もう一人は現在の総務部情報システム室室長で、当時はSI会社にて生産管理パッケージを専門として携わっており、生産管理システム導入を数多く最前線でこなしていた徳増真宏氏である。櫻井社長は二人に同社の現状を話したが、外部の人に詳細な話まではできない。そこで徳増氏を社内に招聘し、岡田氏は社外から協力してもらう体制で新たな生産管理の仕組みづくりに臨むことにした。 同社が特に重視したのは「生産管理の土壌ができていないところに、システムを入れても上手くいかない」ということである。「入社以来、生産管理業務の研修が開催されたことはなく、先輩から『そのままやればいいよ』と言われてきただけでした。ところが別の人を見るとやり方が違う。なぜ違うのか尋ねると『上手くいかないことがあったが、こうやったら上手くいった』と言うのです。つまり、人が変わればルールも変わってしまっていたのです」と、部品部生産管理課の久城大樹氏と植松大輔氏は口を揃える。
在庫の把握から生産計画、原価計算の自動化へ 生産管理のあるべき姿を追求
桜井製作所部品部の生産管理システムが力強く動き始めた。TPiCS-Xバージョン4.0のもと、従来、不透明だった仕掛りを含むすべての在庫が見える化され、在庫量の適正化を実現。所要量計算のシミュレーションにも着手し、将来の生産計画の自動平準化や原価計算へ活用まで視野に入れている。「現状は、まだ土台ができた程度ですが、手ごたえは十分感じています。今後も生産管理のあるべき姿を目指したい」と櫻井成二社長は意欲的だ。
2015年10月にプロジェクトをキックオフ。最初に取り組んだのは、素材中心の在庫の考え方を見直し、仕掛り在庫を含むすべての在庫を把握できるようにすることであった。本格稼働直前の2016年7月には、146項目に及ぶチェックリストによるTPiCS4.0の検証を試みた。「従来のやり方と、TPiCS4.0を使ったときの計算結果の違いや整合性を調べたもので、クリアできたときはほっとしました」と、作業に当たった総務部情報システム室の織田貢明氏は話す。 しかし、生産管理システムはTPiCSに一本化すると決めたものの、販売や経理との連携などを考えるとオリジナルシステムを急には止められない。そこで計画を見直し、暫くの間は併用しながら、徐々にTPiCSに移行していった。 TPiCSが稼働すると、効果はすぐに現れた。従来、仕掛り在庫は作業者個人が管理していたので、どの素材がどの程度使われているのかが不明確となっており、それが原因で欠品が生じることが度々あったが、その見えなかった在庫が正確に把握できるようになった。 とはいえ、「生産管理システムの現状は土台ができた程度で、すべてはこれからです」とメンバーは口を揃える。現状での内作の生産計画は、各現場に設置したホワイトボードに手書きしたものを、生産管理課の従業員が巡回してタブレット端末に実績を入力し、それをTPiCSに転送するという管理方法であり、現場でのリアルタイムの実績入力や、計画の自動平準化までは行っていない。これらを踏まえたうえで所要量計算のシミュレーションを開始し、原価計算への適用も検討中である。
TPiCS-X
変化する市場に対応するために、個別生産や繰返生産に特化した最新の生産管理システムです。製品の多様化に対応し、工場のスムーズな生産を実現します。
株式会社 ティーピクス研究所
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