TPiCS-Xの導入事例【住友電工電子製品(深圳)有限公司 様】
自走型の生産管理が定着 納期遵守率・製造リードタイムも大幅改善
- 業種
- 電子部品・デバイス・電子回路製造業
- 従業員規模
- 7500人
- 事業内容
- 電子ワイヤー製品、FPC製品等の製造・販売
- 導入前の課題
- 自走型工場へ変貌し生産管理強化の必要性
- 導入後の結果
- 納期遵守率が98%まで向上、LTの短縮も進む
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自走型工場へ変貌し生産管理強化の必要性
住友電工グループの中国拠点である住友電工電子製品(深圳)有限公司(以下、SEPG)は、FPC(プリント回路基板)や電子ワイヤー製品などのエレクトロニクス製品を生産する企業だ。電子ワイヤー事業では、極細同軸ケーブルと各種部品を組み合わせ、エレクトロニクス機器内外の最適な配線材とする「CBA(ケーブルアセンブリ)」、平角導体を絶縁フィルムでラミネートした配線材の「FFC(フレキシブルフラットケーブル)」などの高付加価値製品を生産している。 創業は1994年、SGEWという社名で深セン市内に設立。2010年4月に住友電工香港電子線製品有限公司(SEPH)の100%出資会社として現在の場所に工場を移転した。 大きな転機となったのはやはりこの新会社発足だ。それまでは日本で調達の材料を加工するのみだったのに対し、材料を自達した上で、加工から組立までを行う自走型の会社へと変貌したからである。それに伴い、業務の仕組み変更が必要となった。従来は住友電工グループが提供する基幹システムの中の必要な部分を使うだけで、同社側でデシジョンする行為はほぼなかったが、自走型工場になったことで、生産管理を強化する必要性が生まれたのだ。 「日本で生産管理の専門家を交えて業務改善方法の検討を行ったところ、自走型工場に見合う総合的管理を実施することがベストであるという結論に至りました」と、当時の事情をよく知る、山崎信之氏は語る。基幹システムは現在でも使用中だが、MRPを基軸とするシステムではなかった。住友電工グループは、既存基幹システムは製番管理を主軸として構築していたが、新会社ではあくまでもプッシュ型のシステムにこだわったという。こうして同社独自の生産管理システムの導入へと動き始めたのである。
左から羽田野氏、王氏、鄧氏、杉山氏、山崎氏
TPiCSの優れた機能と専門エンジニアによる手厚いサポート体制
導入システムの選定にあたり、複数のシステムを調査したが、同社によると「意外にもあっさりとTPiCSに決まった」という。「TPiCSは機能が豊富な割に価格がリーズナブルで、しかも汎用性が高い。例えばマスタデータの追加時には、ExcelのTPiCSのマスターインプットフォームに追加したいマスターを登録し、そのExcelのデータを読み込めばすぐにできるなど、短期間での立ち上げが可能な要素がすべて揃っています」と、現在、生産管理の責任者である電子線事業部経理の羽田野憲彦氏は話す。 しかしTPiCS選定の一番の要因は、地元のSI会社、ブルーネット(深圳網藍通用科技有限公司)の存在だった。TPiCSの機能や活用法を熟知していて、保守・メンテナンスに関しても専門のエンジニアが対応してくれる。そういうベンダーは他にはなかったという。
納期遵守率が98%まで向上、LTの短縮も進む
TPiCSの運用開始後も、工場側の運用が定着せず、暫くの間、在庫などのデータの精度はきわめて低い状態だった。各部の責任者たちは従業員教育の必要性を痛感。 「教育、再教育、その後の確認を1サイクルとして繰り返したところ、やがてデータ類の精度の向上を実感できるようになりました」(電子戦事業部主管 王氏) こうした従業員教育の成果もあり、TPiCSを本格稼働して2年ほど経過すると、目に見えてデータ精度が高まった。それに伴い納期遵守率は98%にまで向上。また、材料が揃わない限り製造指示を出さず、完全にMRPで行うことを徹底した結果、一部の製品ジャンルでは直近(2015~2017年)2年間の平均だけでも、製造リードタイムが30%短縮されるという効果も出ている。 同じ電子ワイヤー事業でも、FFC事業では、品番が数千点存在する完成品管理が難しく、部品品番が最大一万を超えるCBA事業では、材料管理に非常に手間がかかっていた。しかしTPiCS導入後は、特にf -MRPを用いてのCBAの材料管理が改善された。現在、SEPG全体で100人程度がTPiCSを利用している。 「TPiCS導入前は、材料調達時にはさまざまな状況を見る必要があったが、現在はシステムで調べられるので、大変助かっています」と業務部主任の鄧氏。「フォーキャストを見てシミュレーションできるのが非常に大きい」(王氏) ブルーネットの提案により、PDA(携帯情報端末)の活用や、現場へのアンドンの設置、MES(製造実行システム)による進捗状況の見える化など、新たにTPiCSと連動するシステムも導入した。「ここにきてMRPをエンジンとするTPiCSによる高精度のシステムが回り始めました。今後はより付加価値の高まる攻めの生産管理を目指したい」と羽田野氏は締めくくった。
TPiCS-X
変化する市場に対応するために、個別生産や繰返生産に特化した最新の生産管理システムです。製品の多様化に対応し、工場のスムーズな生産を実現します。
株式会社 ティーピクス研究所
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