ファクタリングとは？債権を活用した資金調達
ファクタリングとは、企業が保有する売掛金（債権）をファクタリング会社に譲渡することで、入金予定の資金を前倒しで得る資金調達方法です。銀行融資と異なり、売掛先の信用力が審査基準となるため、自社の財務状況に左右されにくいという特徴があります。
また、ファクタリングは借入ではなく「債権譲渡」によって現金化するため、貸借対照表において負債として計上されません。これにより、企業の信用状況を悪化させずに資金繰りを改善できる手段として注目されています。
売上代金を請求する権利「売掛債権」とは
ファクタリングで取り扱われる「債権」とは、正確には「売掛債権」と呼ばれるものです。これは、商品やサービスを提供した企業が、取引先に対して代金を請求する権利のことを指します。
例えば、自社が顧客に対して10万円の商品を販売し、「１か月後に支払う」という契約を結んだ場合、その10万円はすぐには入金されません。このように後日受け取る予定の代金を「売掛金」と呼び、それを請求する権利が「売掛債権」です。
売掛債権は、将来確実に受け取れる資産として認識されており、売掛金と同等の価値があります。ファクタリングでは、この売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで、代金の入金前に資金を調達できる仕組みになっています。
確定債権のみが取り扱われる
確定債権とは、売掛金が支払われることが確定している債権のことです。具体的には、商品の納品・検品が完了し、売掛金の支払いについて期日や金額を決め、顧客から同意を得ている状態を指します。納品がまだの場合は当然ですが、納品していても検品がまだの場合は修正や返品が生じる可能性があるため、確定債権とは見なされません。
そして、ファクタリングでは確定債権のみが扱われます。万が一、返品や修正で売掛金の支払いが反故になると、その時点でファクタリング企業から受けた融資は全額返金する必要があります。
ファクタリングについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
ファクタリングにおける債権譲渡の仕組み
債権譲渡とは、企業が保有する売掛債権を第三者へ譲渡する取引行為です。ファクタリングでは、この譲渡先がファクタリング会社となり、売掛債権を現金化する手段として活用されます。
この債権譲渡によって、企業は売掛金の入金を待たずに現金を手にすることができるため、急な資金ニーズへの対応やキャッシュフローの安定化が図れます。
譲渡の際には、債権の「確定性」や「通知・承諾」の要件が法的に重要視され、取引の安全性を確保する上でも重要なポイントです。ここでは、実際にどのような流れで債権が譲渡されるのかを詳しく見ていきましょう。
債権譲渡の基本的な流れ
債権譲渡の実際の流れを簡単に説明すると、次のとおりです。
- １.企業Aが顧客Bに商品・サービスを提供し、売掛債権が発生する
- ２.企業Aは売掛債権をファクタリング会社Cに譲渡する契約を結ぶ
- ３.ファクタリング会社Cは債権を買い取り、企業Aに代金を支払う
- ４.顧客Bは契約どおりに代金を支払う（支払先はA社またはC社）
２社間ファクタリングと３社間ファクタリングの違い
債権譲渡の方法には、２社間取引と３社間取引があります。
- ■2社間ファクタリング
- ファクタリングを利用する企業Aと、ファクタリング会社Cの２社だけで契約を締結します。顧客Bには債権譲渡の事実を通知しません。
- ■３社間ファクタリング
- 企業A・ファクタリング会社C・顧客Bの３社で債権譲渡契約を締結し、顧客BはC社に直接代金を支払います。透明性が高く、手数料が低くなる傾向にあります。
なお、ファクタリングにおける債権譲渡は民法上の規定にもとづいて行われ、債権の存在が明確である（確定債権）ことが重要です。譲渡するには契約書の締結や債務者への通知・承諾が求められる場合もあり、事前に確認が必要です。
２社間ファクタリングと３社間ファクタリングの違いについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
債権譲渡の対象は？将来債権もファクタリングで利用可能に
次に、ファクタリングにおける債権の取り扱いについて知っておくべきことを紹介します。
民法改正によって将来債権の取り扱いを開始
2020年４月１日に施行された改正民法において、将来債権の譲渡が明文化されています。明文化された内容を簡単にまとめると以下のとおりです。
- ●債権譲渡時に、その債権が発生している必要はない
- ●債権譲渡時にまだそれが発生していない場合、発生時には譲受人が債権を得る
つまり、ファクタリング企業は買い取った債権がその時点で未確定でも、将来的にその債権を所有できるようになりました。これに伴い、将来債権の買取に乗り出すファクタリング企業が今後増えると考えられています。
ファクタリングの仕組みと債権の基本を理解して、適切に活用しよう
ファクタリングにおける債権とは売掛債権のことです。商品を販売し、その代金を得られる権利をいいます。ファクタリングは売掛債権を販売することで、本来より早期に商品の代金を回収する資金調達方法です。
利用を検討する際には、以下のことを知っておきましょう。
- ●将来債権の買取も可能になった
- ●給与債権ファクタリングには要注意
以上を踏まえ、賢くファクタリングを利用しましょう。
